目次
はじめに
デリバリー&出前の市場が拡大しています。
高齢化で在宅率が高まる中、各家庭へのお届けに、各企業や飲食店がチカラを入れているからです。
しかし、既存の各店舗単位では売上は下降線です。
新規参入が多いのでどうしても既存店はシェアが縮小しています。
そんな中、宅配ピザ大手3社の一角、ピザハットの2017年の記事。
利益が全く出ていないピザハット
2017年まで日本ではケンタッキーがピザハットを所有していました。
ちなみにその前はペプシでした。
ペプシからKFCに経営が変わってから店舗数は急激に伸びました。
そして、上場企業であるKFCは決算書がIRで公開されています。
ピザハットの営業利益、真っ赤っかです。
ワタクシ、業界にいたので唯一上場企業であるKFCの決算は閲覧することができたのでずーっと拝見してました。
ピザハットは90年代から業界2位でしたが、2位なのに全然儲かってないなあと思っていました。
何年経っても利益が出ないのです。
ケンタッキーの利益を全部ピザハットが吸収していました。
ピザハットも比較的低価格路線で突き進んでいました。
シェアを取るまでは赤字も止むを得ないと思わせる戦略でした。
店舗数も1位に迫る勢いありましたがここ何年かは閉店していくのを見る状況でした。
そして、2017年についにファンドに売却です。
このファンド売却で社内体制が一新されました。
スクラップ&ビルドが進み、状況に応じて柔軟な仕組みづくりを行えるようになりました。
そして、2017年には念願の黒字化達成、そして2020年には過去最高益となりました。
同じく、過去に宅配ピザ第1位のドミノピザも外資系ファンドに売却され、今は快進撃中です。
ピザハットもこれからの盛り返しが期待されます。
2位のピザーラも内情は、、、
業界2位のピザーラも近年はパっとしない状況が続いています。
ピザーラはフランチャイズ店舗が多いのですが、フランチャイズ店が直営店に経営がタッチする状況が続いています。
フランチャイズオーナーのギブアップ宣言です。
そして、複合化です。
宅配店は1店舗で2つ3つの業態をパッケージする複合化で売上を確保しています。
ピザーラはパエリアの『ビバパエリア』とパスタの『SPALA』を複合しています。
業界2位でも複合しないと成り立たないくらいの厳しい状況であることがわかります。
しかし、業界人のワタクシから見て、ピザーラは全国チェーン店としてはあまりきちんとしているイメージがありません。
バイトは高校生が多く、茶髪金髪のコが多く、バイクの運転も荒いです。
そして、ピザーラはユニフォームズボンがありません。
ワタクシ、コレがイチバン嫌なのです。
自宅に、ズボンを腰まで下ろしたお兄ちゃんがお届けに来たらイヤです。
清潔感がイマイチなのと、統制されていない雑な印象のピザーラです。
勢いのあるドミノピザ
その点、業界1位のドミノピザが圧倒的にきちんとしているイメージがあります。
1985年に恵比寿にOPENしてから直営店のみの出店だったため、オペレーションやスタッフの教育は群を抜いていました。
配達時間の早さ、ピザメイキングのスピード、正確さ、どれをとってもNO1でした。
昔はドミノピザもケタ違いに忙しかったため、「パーキングスタッフ」というバイクを駐めるためのスタッフがいたくらいです。
お店の周りがピザバイクで渋滞しないようにするための処置をしていたのです。
しかし、ドミノピザは直営店戦略をとっていたので出店にスピードさが欠け、TVCMで知名度が急速にアップしたピザーラがフランチャイズ戦略であっという間に業界1位になってしまいました。
創業者のアーネスト比嘉さんの講演を聴いたことがありますが、日本語があまり上手ではありませんでした。
なので、日本人にとってはうまくモチベーションが上がらなかったのではないかと推測します。
とても体育会系のイメージはなく、スマートなチェーン店のドミノピザは勢いのあるピザーラにシェア争いで負けてしまいました。
でも、店舗単位での売り上げは相変わらず高いドミノピザはやはり安定していました。
そこで、外資ファンドに経営が移行すると、莫大な資金力でTVCMと出店攻勢でピザーラに肉薄するようになりました。
ピザーラとドミノピザのトップ争いはこれからが見ものです。
ドミノピザはゲリラ的なマーケティングを駆使しています。
クリスマスの大混乱は炎上を狙ったマーケティング??
2016年の冬のドミノピザのお持ち帰りキャンペーンによる混乱は大炎上しました。
しかし、ワタクシはわざと炎上を狙ったマーケティングだったのではと疑っています。
ピザ屋がクリスマスにこんなキャンペーンを打つことは通常考えられないからです。
大混乱も予測していて、そのあとにまた『謝罪キャンペーン』を打つ予定なのでは?と思っていました。
最近は失敗しても誠意ある対応でより強い絆へと変化する傾向があるからです。
そんな風にドミノピザのマーケティングは目が離せません。
また何か面白いキャンペーンを期待しましょう。
手付かずの九州エリアを、、、
ここにきてピザハットも巻き返しを狙っています。
九州には今までピザハットの店舗はわずかしか存在せず、メインの福岡には1店舗もない状態でした。
そこにメガフランチャイジーである「JR九州ファーストフーズ」という大資本の会社がフランチャイズ契約し、九州地区を他店舗展開します。
現在10ブランド159店舗を運営するJR九州ファーストフーズは九州で30店舗は展開して欲しいものです。
ピザハットとケンタは離れたはずなのに再び九州で面白い動きですね。
2店の複合店舗の新店が誕生です。
そして、現在420ほどの店舗網を拡大して2位のピザーラを脅かして欲しいものです。
ついにピザハットの反撃開始です!
2022年、福岡の会社に買収される
そして、2022年8月に投資ファンドのエンデバー・ユナイテッドからヤマエグループホールディングスが買収の発表がありました。
日本ピザハットの22年3月期の売上高は209億円、経常利益は13億円と収益はかなり改善しています。
エンデバー傘下の5年で370店舗から500店舗まで増やしています。
小麦粉などの卸も手がけているヤマエグループホールディングスは相乗効果でさらに採算改善につなげるようです。
さあ、ピザハットの更なる追い上げは実現されるでしょうか?
非常に楽しみです。
おわりに
ドミノピザは外資ファンドの経営ということでやはり上場を狙っているのでしょう。
上場企業としてのデリバリーピザチェーンはどうなっていくのか楽しみで仕方ありません。
一方、ピザハットもファンドによる経営ですので再上場をもちろん目指すと思われます。
そして、そのデリバリーインフラを生かしたビジネスを新たに構築するのではという憶測が働きます。
デリバリーピザは単なる陣取り合戦ではありません。
将来の高齢化社会へ向けて構築するインフラをどう生かしていくのかがキーポイントなのです。
コンビニの3強による戦いと近いのかもしれません。