世界を変えるようなイノベイティブなビジネスが存在します。
「ライドシェア」はその典型ではないでしょうか?
今まで存在しなかったビジネスというものは、登場とともに爆発的ヒットを起こし、マーケティング戦略などは必要ではないと思われるかもしれません。
しかし、そんなことはありません。
それを「ライドシェア」ビジネスから確認していきます。
目次
イノベイティブなビジネス「ライドシェア」とは
先日、河野太郎デジタル相は、一般のドライバーが自家用車を使って有料で客を運ぶ「ライドシェア」について、一定の条件を設けた上での導入に前向きな姿勢を示しました。
河野氏は、地域ごとにタクシーの待ち時間の条件を設けて、そのサービスの品質が維持できない場合、ライドシェアや自動運転サービスが自動的に解禁されるルールを導入することを提案しました。
タクシー会社に努力するチャンスを与えた上で、まずは過疎地からの導入を検討する考えを示した、、、とのこと。
コレって、クルマの今後のあり方が変わってくると言える感度が高いビジネスのニュースなんです。
規制を緩和して過疎地ではライドシェアでタクシー不足を補うそうです。
ではそもそもライドシェアとはなんなんでしょう?
「ライドシェア」とは一言で言うと「相乗りマッチング」です。
行きたいところが同じ、もしくは方向が同じならば目的地や途中まで同じクルマで移動できると言うサービスです。
とても感度が高いビジネスです。
「感度が高い」とは受動的ですが、外部の物事に容易に影響を受けるさまです。
これはどういったことなのでしょうか。
ライドシェアのメリットはたくさんあります。
イチバンは移動交通費の節約です。
ガソリン代や高速道路などの有料道路などの代金を移動する人数で割ればかなり安くできます。
そして、やはり移動人数は多い方が楽しいものです。
物流ではネットの普及により復路の空荷がだいぶ減りました。
マッチングに関してはネットの強いトコロです。
オークションもマッチングですし、
マッチングこそがネットの真髄です。
その乗りたい人と載せたい人のマッチングをライドシェアでもやるわけです。
交通費、ガソリン代の節約、CO2の削減、渋滞緩和などのメリットがあります。
ライドシェアのデメリットによる影響
かたや、もちろんデメリットもあります。
イチバンは安全性です。
クルマでの密室移動になるとやはり心配でしょう。
もし、変な人をマッチングされたら苦痛な移動になります。
犯罪なんかに巻き込まれてしまったら!なんて思われる方もいるでしょう。
しかし、これも解決できるのです。
「相互評価」というシステムによって安全性を確保しています。
オークションやネットショップで「レビュー」と呼ばれるものです。
出品者やお店の評価をしていますよね?
この評価を双方から行うというもの。
ライドシェアでいうと、「乗せる人」の評価ともう一方は「乗る人」の評価。
民泊でおなじみの「Airbnb」は安全性の確保をこの相互評価で行なっています。
Airbnbは部屋を貸したい個人と、宿泊をしたい個人、双方が直接やり取りをするビジネスです。
実は「Airbnb」はこの相互評価によって爆発的に伸びていったのです。
同様にライドシェアも伸びる要素はあるのです。
そして、同じ安全性について、交通事故に対する安全性も注意しなければなりません。
ん?なぜ交通事故??
車両の台数が減ってCO2削減じゃないの?
と、思われるかもしれません。
コレにはワケがあるのです。
Uberとトヨタの提携のワケ
Uberは、国によって展開方法が異なります。
日本では、ハイヤーを配車するのみにとどまっていますが、国によっては、乗車情報に基づき、一般人がマイカーを用いてタクシー業務を行ったりしています。
そうなんです。
一般人が副業などでタクシー業務を行う場合です。
運転大丈夫??
と思われますよね。
いくら損害保険に加入しててもコワイですよね。
そこで、両社提携の経緯が見えてきます。
Uberは、もちろん現時点で乗客の案内を人間のドライバーに頼っています。
しかし、自動運転にも取り組んでおり、一方でトヨタは人間の運転をより安全にする支援技術について、MITやスタンフォード大と人工知能の共同研究をスタートしています。
交通事故を減らして、ライドシェアがスムーズに行われるように研究&テストが実施されているのです。
Uber launch Party / 5chw4r7z
イノベイティブなビジネスだけど、、、日本では規制があって盛り上がらない?
このライドシェアは他国ではかなり盛り上がって市場が出来上がっているのですが、日本では一向に盛り上がりません。
規制が邪魔しているのです。
どんな規制かというと、、、
現行の道路運送法において、営業許可のない自家用車で配送サービスを行うことは違法とされています。
タクシーみたいに営業許可を取って「緑ナンバー」にしないと有料ではできないのです。
要するに「無料」ならOKなのです。
でも他の国々では一般の人がマイカーでヒトを乗せてお金を稼いでいるのです。
誰でもマイカーがあれば誰でもライドシェアに参入でき、稼ぐことができるってすごいことです。
副業で週末だけライドシェアで気軽にお仕事ができる。
そんなワーキングスタイルがアプリを使ってできるのって海外では当たり前になってるのに日本では規制が邪魔してるって損ですよね。
ライドシェアが広がればバーやレストランは大儲け
ライドシェアが広がると、人々の移動の方法も変化してくるでしょう。
タクシーだとどうしても移動にかかる金額が高いと感じてしまいますが、ライドシェアがずっと低い金額で移動できるとなるとどうでしょう。
圧倒的に利用率が高くなるに間違いありません。
タクシーだとワンメーターの距離ってなかなか利用しづらいものです。
しかし、ライドシェアで気軽に近距離を低価格で利用できるとなると、ちょっとした買い物で利用したりと、「ちょっと使い」が格段に増えていきます。
他に、近くの居酒屋からの帰りに使ったりと、繁華街から離れたバーやレストランなどの小規模な商店へも客足が流れる波及効果が考えられるほか、観光業にも大きな利益をもたらすことが期待されています。
ライドシェアが広がることによりいろんな経済効果が現れてくるのです。。
世界を見渡すと、パリはいうまでもなく世界有数の観光都市ですが、2016年5月の1カ月だけをとっても、約10万人にのぼる観光客が、パリ市内の移動にUber(ウーバー)を利用しているそうです。
相乗り通勤ができる未来はもうすぐ?
相乗りをマッチングできるようになると移動の経費が格段に安くなります。
もともと一人乗車の車両が多すぎるので、目指すはフル乗車による移動です。
これは交通渋滞も減るし、画期的なシステムなのです。
この相乗りマッチングを「ライドシェア」と言います。
ライドシェアは世界的に広がりを見せています。
しかし、日本では規制が邪魔をして全く広がりません。
ニーズがあるのに広がらないのは非常にもったいないことです。
そのライドシェアはもうアメリカでは次なるステージに突入しようとしています。
それが「通勤用の相乗り」です。
米Lyft(リフト)がバス路線に似たサービスを
ライドシェア発祥のアメリカでは主に2つの会社がしのぎを削っています。
『Uber(ウーバー)』と『Lyft(リフト)』です。
この『リフト』には、楽天も出資しています。
リフトの評価はウーバーよりも高く人気があります。
そして、リフトが新しく追加サービスを始めました。
新しいサービスは「Shuttle(シャトル)」です。
これは通勤用相乗りオプションで、路線バスのように決められた乗車地点と降車地点を巡回します。
シャトルは現在サンフランシスコとシカゴでテスト中で、毎日同じ経路を利用するユーザーに安定した移動手段を与えることができます。
シャトルの料金は固定制でラッシュ時も料金は変わりません。
確かに毎日の通勤でライドシェアの利用も不安定な感じが拭えません。
なので、通勤と割り切ったオプションがあるのは非常に助かるところです。
シャトルは相乗りの未来のカタチです。
ヨーロッパでは「フリーナウ」
全世界でUberがシェアを握っていますが、後発組はより良いサービスでシェア拡大を狙っています。
中でもヨーロッパで2019年設立の「フリーナウ」は独BMWと独ダイムラーの合弁会社です。
欧州ではすでに「営業黒字」達成とのこと。
欧州はパンデミックにより大きなダメージを負ったが、同社はイギリスはじめ欧州市場のほとんど営業拠点で黒字を確保できているという優良企業です。
かたや、Uberは2019年11月に事業認可を取り消されました。
ライドシェア企業はほとんどが赤字で運営していますが、フリーナウの営業手腕は素晴らしいとしか言いようがないですね。
日本では、、、
もちろん日本でのライドシェアは現実のものとはなり得ません。
規制が邪魔をして、タクシー業界の圧力に屈しています。
便利なサービスも一筋縄ではいきません。
他の国でも規制があり、スムーズに事業は展開していませんが、軒並みユーザーの評価は高いのです。
いろんなネガティブな意見もありますが、『移動経費』を落とすことは他のいろんなことへの活力となり得るのです。
交通業界を巻き込んで健全な競争をして、豊かな生活を提供してほしいものです。
イノベイティブなビジネスでもマーケティングは重要
新規事業を開始する際、特にライドシェアのような革新的なビジネスモデルを展開する場合でも、正しいマーケティング戦略は重視しません。
ここでは、Uberを例に、どのように目標を段階的に拡大していきますかしてビジネスを成長させたかを解説します。
Uberの成功に学ぶ:段階的な目標の拡大
Uberは、現在世界中でライドシェアサービスを提供し、多様なユーザー層に対応するまで成長しました。
しかし、この成功の裏には、目標を段階的に拡大していく戦略がありました。
初期目標の限定
2010年にサンフランシスコでサービスを開始した当初、Uberは裕福なプロフェッショナルワーカーを中心に絞っていました。
当時のサンフランシスコではタクシーがなかなか捕まらないという問題があり、これに不満を持つビジネスパーソンがUberのUberは、黒塗りの高級車とプロのドライバーを提供し、皆様のタクシーサービスに対する不満を解消しました。
口コミとプロモーションの活用
Uberのマーケティング戦略の中で大きな成功を収めたのが、口コミの力です。
初期のユーザーが高品質なサービスを体験し、その体験を広めることで、自然に顧客層が拡大していきました。
また、友人を紹介することで割引を得られるキャンペーンも人気を呼び、さらに多くの顧客を獲得しました。
ターゲット層の拡大
Uberは、戦略が成功した後、徐々にターゲット層を広げていきました。
初めはプロフェッショナルワーカーが中心でやがて、テロイベントやパーティーの帰りなど、特定のシーンに応じて割引コードを配布し、さらに、サービスの提供エリアをニューヨークやパリなど、タクシー不足の地域へ拡大し、新たな市場を開拓していきました。
段階的な戦略が成功する
現在のUberは、電気自動車を利用できる「Uber Green」やペットと一緒に乗車できる「Uber Pet」など、さまざまなニーズに対応するサービスを提供しています。
考えたのは、最初から全ての顧客を目標にするのではなく、段階的に目標層を広げ、戦略的にサービスを展開した結果です。
イノベイティブなビジネスに関しても、ターゲットを絞り、段階的に市場を拡大する戦略マーケティングが重要です。
新規事業を開始する際には、初期の目標をしっかりと見据え、彼らのニーズに応えるサービスを提供することで、長期的な成長を実現できるでしょう。
Uber の成功は、その良い例です。
おわりに
ライドシェアの良さが伝わるリフトの動画です。
なかなかいいイメージを抱きました。
おばあさんもライドシェアで楽しく、、、そんな世界が現実にあるのでしょう。
日本では試験的にいろんな地方でライドシェアが稼働しています。
基本的には過疎地であり、タクシーが営業しても成り立たないような場所でのライドシェアです。
Uberが初めて都心部としては福岡市ではテスト運用しましたが、すぐ中止され、まだ都心部では実用化に向けては現実的ではありません。
確実にニーズがあって消費者に喜ばれることがわかってるのに規制緩和が進まないのはホントに困ったものです。
市場原理に任せて早くライドシェアが人々の移動をより便利にすることを強く願わずにはいられません。
ライドシェアという時代の流れにもう逆らうことはできません。
交通事故が減少すると必然的に渋滞が緩和され、移動がスムーズになり、他の移動手段とも競合し、移動経費も減少していくことでしょう。
そうなると、遠い場所にも移動しやすくなり、世界が着実に近くなっていきます。
ライドシェアによって、また世界が劇的に変わろうとしています。