中小企業や小規模事業者の皆さんは、日々の経営において地域の重要性を感じていることでしょう。
地域密着型のビジネスモデルは多くの成功例を生んでいますが、時代の変化と共に、地域を活かした売上アップの方法も進化を遂げています。
「地域マーケティング」という言葉を耳にすることが増えましたが、これは単に地域に根ざした活動を指すのではなく、地域の資源や特性を活用して、より広範な顧客層へとアプローチする戦略のことです。
地域マーケティングの真髄は、地元の魅力を再発見し、それを独自の販促ツールに落とし込むことにあります。
例えば、地元産の素材を使った商品やサービス、地域の伝統や文化を生かしたイベントの企画などが挙げられます。
これらは地域に新たな価値を生み出し、外部からの訪問者を惹きつけることができます。
しかし、地域マーケティングを成功させるには、ただ地域性を前面に押し出すだけでは不十分です。
地域の魅力をどのように内外に伝えるか、そのための戦略が重要になります。
この記事では、地域を活かした売上アップのための具体的な方法を紹介します。
地域の特性を生かしながら、より幅広い顧客層にアプローチすることで、ビジネスの可能性を広げましょう。
目次
地域マーケティングとしての地域密着
小さな商店や昔ながらの商店街を利用していますか?
店主が顔なじみで、いつもお店にいるだけで安心してしまう和やかさがそこにはありました。
それも、過疎化や高齢化により、廃れ出して久しいです。
そして、巨大な商業施設やチェーン店の進出によるところが大きいと思います。
でも、チェーン店の資本力に勝てないよ、と思われるかもしれません。
そこで、チェーン店に対抗するには、まずは『地域密着』という言葉が出てきます。
しかし近所のコンビニも地元の方がオーナーだったりして地域に根ざしていることは間違いありません。
でもそれは地域密着の度合いとしては低いものです。
地域密着度をどこまで突き詰めるかによってどこにも真似出来ないオリジナリティが完成します。
最近の小売業は専門店化が進んでいます。
戦後の好景気はスーパーマーケットやデパートが登場し、どんどん多店舗展開していました。
しかし、近年は商店街が見直され、より個店化が進む傾向にあります。
インターネットの登場で『ロングテール』というコトバも生まれ、よりニッチな商品が売れるようになってきました。
なので、ターゲットを明確にして世界中の消費者を相手に商売ができるようになってきたのです。
クリエイティブな地域マーケティングとしてネット販売と対局の地域密着にさらに磨きをかけていきましょう。
地元で生産している商材をさがしてみる
食べ物だと近所のパン屋さん、お肉やさん、農家、お豆腐屋さん、ケーキ屋さんなどがあります。
これら地元の食材を使用することを考えてみるのはいかがでしょう?
ネットで探せばカンタンです。
できればホームページやブログをやってるお店のほうが柔軟性があっていいと思います。
例えばお肉屋さんのお肉を使用するならもちろん販促物にそのお店のお肉を使用していることを訴求します。
なるべく従来のお肉屋さんのお客さんに訴求できるようにします。
これはお肉屋さんにとってもうれしいことで、黙っててもお肉屋さんの店主が馴染みのお客さんに伝えてクチコミが伝播します。
狸小路商店街 / alberth2
そうです、他店のお客さんを共有させてもらうのです。
顧客データの共有
どこの商店だって強い絆を結んでいる顧客が相当数いるものです。
そこを一網打尽します。
エリア分析して弱い地域が判明した場合は特にチカラを入れてその地域のいろんな業種の繁盛店を探しだします。
そしてジブンの店とどういうふうに結びつければいいか試行錯誤してみてください。
きっと面白いコラボレーションができるでしょう!
このパターンでどんどんコラボレーションしていけば全く違ったビジネスモデルが出来上がるでしょう。
コラボしたお店にクーポン券を渡してお客さんに渡してもらいましょう!
コラボ店にとっても、自分のお店にとって来店動機としてお得なクーポンをついでにもらいに来ると考えれば、とても有効な販促です。
ただ注意点としては煩雑さが増すということです。
ですので、これをどこまでシステム化できるかということも常に考えていきます。
地域密着マーケティングについてはこれからもどんどん追求していきたいと思います。
Danjiri (Parade Float) / Hyougushi
地域マーケティングー『・・・の聖地』と呼ばれるようにセグメント
商圏が世界レベルになると、より細かいセグメントをしても商売が成り立ってきます。
そこで、最近増えてきたのが『聖地化』です。
埼玉県川口市のタワーレコードは、アイドルグループ「欅坂46」のメンバー志田愛佳さんを応援する店づくりをしている。
特定のメンバーをクローズアップして『聖地化』しています。
聖地化することにより全国より聖地詣でに訪れ、売上もアップしています。
同様に薬局キャラクターでおなじみ『ケロちゃん』の聖地もあります。
売上低迷の薬局が、倉庫に眠っていた大量のケロちゃんグッズを陳列したところ全国より聖地詣でに訪れ、またまた売上回復しています。
聖地化の威力ですね。
埼玉県日高市が「遠足の聖地」を宣言
埼玉県南部の豊かな自然が残るエリア、日高市。
その日高市が「遠足の聖地」を宣言しています。
以下、記事引用
『埼玉県日高市が「遠足の聖地」を掲げた地域振興に乗り出した』『4月上旬、同市高麗本郷の巾着田(きんちゃくだ)で行われたセレモニーで谷ケ崎照雄市長が「遠足の聖地」を宣言した。
「アニメの聖地」といった聖地をうたう地域発信が各地で盛んだが、日高市の担当者は「『遠足の聖地』は初めてではないか」(産業振興課)と話す。
東京都や県内の小学校計2100校に遠足先としての魅力を紹介した冊子を送付し、売り込みをスタートした』
なるほど、、、、
観光でなく、遠足に目を向けた素晴らしいマーケティングです。
今ある資源を有効に活用という意味で、アタマを使ったアイデアによる集客方法です。
富山市の地域密着
富山市は、徒歩移動を促す「歩ける街づくり」の一環として、人流データを活用しています。
この取り組みは、市が進めるコンパクトシティ政策の一部であり、データを用いて脱炭素や市街地の活性化を推進することを目的としています。
富山市の調査では、徒歩で移動する際に「600メートルの壁」という現象が存在することが明らかになりました。
富山駅周辺とグランドプラザ周辺では、500メートル前後を歩く人は約60%であるが、600メートルを超えるとその割合が40%前後まで下がることが判明しました。
このデータをもとに、富山市はコンパクトシティ構想をさらに推進しようとしています。
この構想では、人口減少や都市縮小に対応し、人々を都心部へ誘導することで、まちなか居住や市民生活に必要な機能を集積させることを目指しています。
特に、公共交通の活性化と徒歩圏内に機能を集約させることが、富山市の取り組みの大きな特徴です。
市の取り組みには、マーケティング的な視点も大きく関わっています。
人流の把握によって、人々の動きや街の魅力を数値化し、見える化することで、より効果的なまちづくりが可能になります。
例えば、市街地の徒歩移動に関するデータからは、東西方向の動きが少ないことが分かり、それを改善するための再整備の提案が論理的に導き出されています。
さらに、「計測」により、「にぎわい指数」のような新たな指標を設け、その効果を定量的に評価することが可能になりました。
このようなデータの活用は、PDCAサイクルを効果的に回すための重要な手段であり、政策や取り組みの説得力を高めることにもつながります。
富山市の事例は、新技術の活用により「計測」が可能になったことで、まちづくりにおける課題を明らかにし、解決策を論理的に導くための有効な方法を提供しています。
この取り組みは、行政がマーケティング的思考を取り入れ、市街地の活性化と脱炭素を目指す上での一つのモデルと言えるでしょう。
地域マーケティングー「発祥の地」ならなおさら
アナタのお住まいの地域には「発祥」となるものはありませんか?
ワタクシの生まれた北九州は「焼うどん」が発祥でした。(諸説色々ありますが、、、)
さらに近所の門司港は「焼きカレー」など。
食べ物に関しては結構あるのでないでしょうか。
北九州には「パンチパーマ」発祥なんてのもあります。
そして面白いことには隣の山口県下関市は「床屋」の発祥だそうです。
「発祥の地」はイコール「聖地」化します。
アナタの住んでいる地域の発祥を調べてみると案外面白そうなものが出てくるかもしれないですよ。
地域マーケティングを戦略的に
最近では、チェーン店も地域密着戦略を追求してきています。
出店地域によって店名を変えたりして、チェーン店と思わせないようにしています。
でも、見せかけだけの方法では、地域密着の本質には勝てません。
サービス業をどれだけ知的労働に置き換えていくかが勝ち負けを決定づける時代になってきました。
柔軟性をもってアタマを使って儲けましょう。
そして、『聖地化』はいろんなビジネスに応用ができそうです。
観光需要が旺盛な近年は世界中から聖地化詣でが期待できます。
一つのマーケティング手法として熟考してみて世界に一つの聖地を作り上げたヒトがその道のプロフェッショナルとなるのです。
よりクリエイティブを発揮して勝ちパターンを構築していきましょう。