目次
はじめに
交通手段の一つとして利用されるバス。
近所の移動に利用する路線バス。
長距離を移動する高速バス。
空港へのアクセスを楽にするエアポートリムジン。
今や、生活に欠かせない大切な交通インフラです。
ワタクシ、バス保有台数日本一の西鉄の本拠地である福岡県出身なものでバスに対しては特に思い入れが深いものです。
しかし、バス路線は新設されるものもあれば廃止されるものもあります。
廃止されると人々の移動が抑制され、過疎地なんかはホントにタイヘンでしょう。
最近は高齢者の自家用車による事故が多発していますが、バス路線もない地域は自家用車を手放すことができません。
なのでバス路線は撤退しないで欲しいのですが、一体どれくらいの利用者がいれば廃止されないで済むのでしょうか?
損益分岐を計算!路線バスの損益分岐点
路線バスの採算ラインは、最低何人以上の乗客の乗車なのでしょうか?
車両が2000万円として16年リースで、125万円(2000万円÷16年)
燃費3.0km/l、軽油が¥100/lとして、180万円(33円/km×160km×365日)
人件費1400万円(1日16時間運行なら2人×500万円×週休2日で1.4人必要)
車両税金、修繕、車検→150万円
合計1855万円
管理費20%として2220万円、
大人250円として
2220万円÷250円÷365日=243人/日
1日に243人が採算ラインなら結構超えそうです。
だいたい満員と言われるのが50名くらいです。
朝夕のラッシュ時はだいたい満員になるのでそこで2回満員で100人としてあと143人は都心部路線なら軽くクリアでしょう。
でも田舎路線はラッシュアワーがそもそもないので採算超えは難しそうです。
しかし、路線バスは自治体から補助金が出ていることも多いので赤字路線は残っています。
インフラとして重要な役割を担っているということですね。
損益分岐を計算!高速バスの損益分岐点
高速バスの採算ラインは、、、
車両が3500万円として16年リースで、218万円(3500万円÷16年)
燃費4.0km/l、軽油が¥100/lとして、456万円(25円/km×東京→大阪500km×365日)
人件費1400万円(1日16時間運行なら2人×500万円×週休2日で1.4人必要)
車両税金、修繕、車検→150万円
合計2224万円
管理費20%として2668万円、
東京→大阪大人4000円として
2668万円÷4000円÷365日=18人/日
1日で算出していますが一回の運行としても
18人が採算ラインでしょう。
定員が45名だとしたら18名の乗車は半分以下なので人気路線なら問題ないでしょう。
でも10人以内の人数で走行している高速バスって平日だと結構見受けられます。
そう考えると高速バスも競争が激しいなと感じさせられます。
稼ぎどきにどれだけ稼ぐかが勝負の別れどころのようです。
損益分岐を計算!ー収益化するために
損益分岐の計算は重要です。
これがわかっていないと経費をどんどんかけてしまい、無駄な経営をしてしまいます。
最低限の経費であとは売り上げを上げるために邁進しましょう。
ではどのようにして売り上げを改善していけばいいのでしょうか?
観光バスのアイデアツアー
うってかわって観光バスのお話ですが、コロナ禍のもと観光バスは壊滅状態です。
中華街に住んでいるワタクシにとっても観光客の少なさは心配してしまいます。
そんな中、香川県の琴平バスが実施している「おうちでオンラインバスツアー」がとてもユニークで素晴らしいです。
要するに「zoomを使ったヴァーチャルバス旅行」です。
以下がツアーの流れです。
1. 参加者には事前に「旅のしおり」と、現地の方とプランナーが選んだ旅先の「お料理」がクール便で届きます。
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2. ツアー当日、参加者はご家庭などにいながらオンライン上の仮想のバスに乗り込み、プランナーの案内で、自己紹介やクイズなどを交えながら旅先までの道中を楽しみます。
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3. 目的地に着いたら、お勧めの景色などを動画で眺めたり、現地ならではのイベントに参加したりします(たとえば、島根県への旅では伝統の石見神楽を現地ガイドの解説付きで楽しむことができます)。
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4. ツアー途中に、景色などを眺めながら家に届いたお料理を召し上がっていただきます。
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5. ツアー中に、現地ガイドとのライブ中継を行い、動画とリアルタイムの解説によって、観光地にいるような臨場感を演出します。
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6. ツアーの途中で現地のお土産店に立ち寄り、ガイドお勧めの食べ物やおみやげを買ったり送ったりすることもできます。
めちゃくちゃ参加気分が味わえるではないですか!
お買い物もできるトコロがたまりません。
高齢の方や身体が不自由等で実際にバスツアーに参加できない方にとっても、楽しさを共有できてすごくありがたいのではないのかなた思います。
コロナ収束後もぜひ続けてほしいサービスです。
アイデアひとつで困難な状況を乗り切ることができる好例です。
山形県鶴岡市の庄内交通の乗客が3倍に増えた路線バス
人口減少に伴う利用者減に加え、長引くコロナ禍や燃料価格の高騰などの影響で苦境にあえぐ地方の公共交通機関というのはよくある話です。
山形県鶴岡市の庄内交通も同様でしたが、発想の転換で乗客数を飛躍的に伸ばしました。
その中身は、あえて市中心部を循環する路線バスの運行便数を4倍に増やし、バス停を20カ所以上も新設という逆転の発想です。
商機は地域の実態に合った「利便性の向上」にあったのです。
減便や路線縮小に動く交通機関もある中、庄内交通は「地域の活性化の第一歩は利便性を高めることが重要だ」という原点に立ち返り、攻撃に打って出る戦略に懸けたのです。
3路線のバスを12人乗りのワゴン車に小型化して、12便から48便に増便しました。
バス停も300メートル間隔を基準に58カ所から79カ所に増やしました。
小回りがきくワゴン車が狭い路地を抜け、高齢者世帯が暮らす中心市街地を循環するようにしたのです。
すると、通院や買い物の利用が増え、一定の観光需要もありました。
そして、なんと戸別訪問による需要開拓も功を奏し、約1カ月で乗客数は前年同期比3倍の約4500人に急増しました。
同社も赤字収支に陥り、減便を重ねて縮小の一途だったという。
要因を探り従来の運行形態を見直すと、業界の都合優先で利用者目線が脇に追いやられていたとのこと。
そこで、高齢者が普段使いでき、一日の予定が立てやすいよう1時間に1便の運行頻度を確保し、ホテルなど関連会社と連携した割引制度も導入したのです。
素晴らしい攻撃ですね!
営業も欠かさないしっかりとした調査が前提となっています。
成功例としてマーキングしておきましょう!
おわりに
新宿にはバスタ新宿なる巨大バスセンターが新設されました。
バス好きのワタシにとってはいろんな車体のバスがあってすごく楽しい場所です。
こっから全国に旅立って行くのかあと考えると感慨深いものがあります。
従来は東京→大阪などはドル箱路線だったのですが新規参入も増えて過当競争の真っ只中なんでしょう。
バス会社も変化が求められているのだと思います。
なので、最近は贅沢なシートを使用したバスも登場しています。
高速バスは飛行機や鉄道より安く移動できるのがメリットでしたが、最近はゆっくりでも贅沢にというニーズに向けてのサービスも提供しています。
いろんなバスのサービスが提供されてもっとバス旅が楽しくなればいいですね。