見せ方を変えることによって大きく伝わり方も変わってきます。
商品やサービスの成功は、その「見せ方」をどう「魅せ方」に変換するかにかかっています。
これらの事例から学び、自社の商品やサービスの魅力を最大限に引き出す方法を見つけましょう。
以下、参考例をご覧ください。
目次
「見せ方」を「魅せ方」に変える
世界的に著名な画家が、熱心なファンの女性に語った、やや厳しいとも受け取れる言葉があるとされています。
この話は、顧客が感じる商品の価値を高めるのに非常に役立つ方法です。
今回はその話をご紹介します。
画家が行った、熱烈な女性ファンへの対応
ある日、画家が外を歩いているとき、一人の女性が声をかけました。
女性: 「私はあなたの大ファンです。この紙に絵を描いてくれませんか?」
このように気軽に言うこと自体が、やや失礼に感じられるかもしれません。
今でいうと、お笑い芸人に「面白いギャグをやって」と言うようなものです。
しかし、画家はこの女性に約30秒で美しい絵を描いてあげました。
そして、絵を女性に手渡しながら、画家は次のように言いました。
画家: 「この絵は、1億円です(100万ドル)。」
この言葉に驚いた女性は、画家に反論しました。
女性: 「この絵を描くのにたったの30秒しかかかっていないじゃないですか?」
それに対し、画家は次のように答えました。
画家: 「それは違います。30年と30秒です。」
画家は、この絵を描くために技術を磨き続けてきた期間、すなわち30年を絵の制作時間に含めたのです。
つまり、技術を磨いてきた時間が30年、絵を描く時間が30秒。そのため、合計「30年と30秒」と女性に答えたのです。
絵を描くのにかかった時間は、「30秒」か「30年と30秒」のどちら?
女性が言うように、画家がこの絵を描くのにかかった時間が30秒であることは間違いありません。
これが一般的な感覚でしょう。
しかし、画家が30年間技術を磨き続けなければ、この絵を描くことはできなかったでしょう。
そう考えると、画家が言う「30年と30秒」も間違いではないでしょうか?
どの角度から見るかによって、真実は変わる…
画家のエピソードの他にも、見る角度によって真実が変わる話は多くあります。
スピーチで頻繁に引用されるのは、「3人の建築作業員」の話です。
壁を築いている3人の建築作業員に対して、旅人が「何をしているのですか?」と尋ねたとき、3人の建築作業員は全く異なる答えを返しました。
建築作業員A: 「壁を築いているんだ。朝から夜までこれをやってる。少し退屈だ。」
建築作業員B: 「この場所に大きな建物を作っているんだ。これのおかげで家族が食べていけるから、ありがたいことだ。」
建築作業員C: 「私は、未来の世代に影響を与える重要な建造物を建設しているんだ。これで多くの人がインスピレーションを受けるだろう!」
物理的には全く同じ仕事をしている3人ですが、まったく違う答えが返されました。
しかし、どれも間違っているわけではありません。それぞれが正しく、真実です。
商品が一番輝く角度でメッセージを作る
どの角度から見るかによって真実が変わる場合、商品を売る時には、商品価値が最も高まる真実をアピールするのが効果的です。
画家が女性に描いた絵の価値を高めようとするなら、描いた時間が30秒よりも、30年と30秒と考えた方が価値が高まるでしょう。
建築作業員の仕事の価値を高めたいと思うなら、単に壁を築いていると考えるよりも、重要な建造物を建設していると考えた方が良いでしょう。
あなたが販売している商品は、どの角度から見たら一番輝くでしょうか?
その角度から見た商品価値をお客さんにわかってもらうには、どんなメッセージを伝えるべきでしょうか?
小さなテクニックですが、非常に効果が高いのでおすすめです。
「見せ方」を「魅せ方」に変えるための方法
商品やサービスの「見せ方」を「魅せ方」に変えるための方法をいくつかご紹介します
ストーリーテリングを活用する
製品やサービスにストーリーや背景を加えることで、顧客に感情的なつながりを提供します。
例えば、商品の開発背景や、それを使用することで得られる体験を詳しく語ることで、単なる機能以上の価値を伝えられます。
ストーリーを作ってブランディングするにはどのように進めていけばいいのかは、こちらの「ブランディングの方法」から確認してください!
→【ブランディングのやり方】『ストーリー性を持たせる』ことでアナタの事業は強力なブランド力を発揮する
ビジュアルで魅せる
高品質の写真やビデオを使用して、商品の魅力を視覚的に訴えかけます。
実際に使用している様子や、ライフスタイルに溶け込むシーンを撮影することで、商品の魅力をより直感的に伝えられます。
顧客の声を取り入れる
実際に商品やサービスを使用した顧客の声やビフォーアフターの事例を紹介することで、信頼性と現実感を増します。
顧客がどのような変化を体験したかを示すことで、他の顧客にもその効果をイメージしやすくします。
ユニークな価値提案を明確にする
商品やサービスが持つ独特の価値や差別点を明確に打ち出します。
競合との違いや、独自の特長を強調することで、顧客にその魅力を認識させることができます。
エンゲージメントを促進する
SNSやメールマーケティングなどを利用して、顧客とのコミュニケーションを活性化します。
定期的に情報を更新し、顧客が参加できるキャンペーンやイベントを提供することで、継続的な関心を引きつけます。
これらの方法を通じて、商品やサービスを単なる機能の提供から、顧客にとって魅力的な存在に変えることができます。
「見せ方」を「魅せ方」に変えた好例
見せ方を変えてうまくいった例をいくつかご紹介していきます。
高島屋の銀行「高島屋ネオバンク」が20~30代に人気!
百貨店の高島屋が、なんと「銀行」を開きました!
その名も「高島屋ネオバンク」。
「高島屋ネオバンク」は、スマホアプリ上の銀行なのです。
高島屋で、このスマホアプリで支払いができます。
入金・出金は、セブン銀行、ローソン銀行のATMからできます。
月5回の入出金までは無料ですから、手軽な銀行としても使えるのです。
ですから、本当に高島屋の「銀行」なんですよね。
そして、高島屋が「高島屋ネオバンク」のキラーコンテンツとして考えたのが、「スゴ積み」というオトクな積み立てサービスなのです。
『スゴ積みとは、5つのコースに沿って5000円から10万円まで毎月一定額を、高島屋ネオバンクの口座から引き落としてアプリ上で12カ月積み立てると、1カ月分のボーナスがプラスされるというサービス。
年利換算で約15%相当という』
高島屋は高島屋ネオバンクを開始するに当たり、このスゴ積みをアピールして、20~30代の顧客を新たに獲得しようと考えたのです。
でもその「スゴ積み」の仕組みって、いわゆる昔からある「友の会」と同じなです!
しかし、友の会をスマホアプリにしたことで成功できたのです。
「友の会」は、時間のある年配女性に向けたサービスになっていた、ということですね。
しかし、20~30代の若い世代を取るなら「スマホ」ですよね。この世代は「何でもスマホ」世代です。
もう1つの成功要因は、「銀行」にしたことです。
これが、予想以上に重要でしたし、「成功」につながりました。
VWビートルの魅力的な「見せ方」と「魅せ方」
かつての人気車種、VWビートルは、2019年に生産終了となりましたが、そのデザインや性能は多くの人々に愛されました。
ビートルがなぜ長年にわたり人気を博したのか、その広告戦略を通じて見ていきます。
米国市場での成功
ドイツ製のVWビートルは、特にアメリカでの成功が著しかったです。
1959年には年間8万台が販売され、1968年にはその数が5倍以上に増加しました。
他の輸入車が新規性による初期の売れ行き後、販売が落ち込む中、ビートルは持続的に人気を保ちました。
広告戦略の秘訣
初めてVWビートルの広告を目にしたとき、その印象はそこまで強くありませんでしたが、シリーズ広告としての連続性とその内容の面白さには引き込まれました。
広告は単発ではなく、複数のシリーズで構成されており、各週ごとに異なるポイントが強調されていました。
機能性の強調
多くの自動車広告がデザインや外観に焦点を当てる中、VWビートルは機能性に重点を置いていました。
外観は変わらずとも、内部の技術は絶えず更新されていることが強調されました。
以下はその一例です。
- 「過去15年間に数千もの改良を加えました」
- 「新しいモデルは2,250箇所の改良が施されています」
- 「5,115個の部品が改善・交換されました」
コレは現在の日産の「GT-R」にも共通しますね。
もう15年以上もフルモデルチェンジされていませんが、年々魅力満載の車に仕上がっています。
具体性のアピール
VWの広告は、非常に具体的で研究に基づいた内容が多く、信頼性を与える要素となっています。
例えば、車がどれだけ厳しいテストをパスしているかを細かく記述しています。
- 「8,397人の検査員による詳細な点検が行われます」
- 「16,000の異なる点検を受け、5kmのテスト走行が行われます」
- 「トーション・バーを100,000回ねじり、鍵穴に鍵を25,000回差し込むテストを行います」
このように、VWビートルの広告は、単なる車としてではなく、一貫した品質と継続的な改善を顧客に訴えかけていました。
あなたのビジネスでも、製品やサービスの「見せ方」を「魅せ方」に変換することで、どのように顧客層を拡大できるか、この事例からヒントを得てください。
「魅せる」ことに成功した他の例
レストランのメニュー改革
あるレストランは、単に料理の名前を並べるだけだったメニューを、料理の魅力的な写真とストーリーを加えたメニューに変更しました。
例えば、地元の農家から仕入れた新鮮な野菜を使ったサラダは、「地元農家の恵みサラダ」として紹介され、顧客の興味を引き、売上が大幅に向上しました。
ファッションブランドのSNS活用
あるファッションブランドは、ただ商品を並べて見せるだけではなく、モデルが実際に衣服を着用している様子をSNSで発信しました。
ライフスタイルに溶け込むファッションの提案を通じて、商品の魅力を高め、フォロワーとのエンゲージメントが増え、オンライン販売が大幅に伸びました。
家具店の展示方法の工夫
ある家具店は、単に家具を並べるのではなく、実際の生活空間を模した展示方法に変更しました。
顧客が家具を使った生活のイメージを持ちやすくなり、特に高価な家具セットの販売が向上しました。
美容製品のビフォーアフターの活用
美容製品を販売する企業は、単に製品の特徴を列挙するのではなく、実際に製品を使用した顧客のビフォーアフターを掲載しました。顧客の変化が目で見てわかるため、信頼性が増し、製品の購入意欲が高まりました。
技術サービスの解説動画
技術的なサービスを提供する企業は、複雑な機能を説明するテキストだけでなく、解説動画を用いてサービスの使い方やメリットを視覚的に示しました。
これにより、顧客がサービスの価値を容易に理解し、契約率が向上しました。
売上アップへのアプローチ:見せ方から魅せ方へ
商品やサービスの「見せ方」を「魅せ方」に変えることで、多くの企業が売上を大幅に向上させています。
単に商品やサービスを見せるだけでなく、それをどう魅力的に見せるかが重要であることを示しています。各業界で成功を収めた方法を参考にし、自社の商品やサービスをより魅力的に見せる工夫を行い、集客と売上を最大化しましょう。
ちなみに、同じ見せ方という意味で、商品やサービス「差別化」は売上に大きく影響を与えます。こちらの「差別化であなたの商品やサービスの売上をアップ!」から確認してください!
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